10月14日に、福岡工業大学付属城東高校映像クリエイター部と、Unicul Laboratory が共同で「動画生成AIを使って将来について考えよう」と題したワークショップを実施しました。

本ワークショップにおける趣旨は、「中高生が今後世界へ羽ばたいていく上でより利用する機会が増えていくであろうAIの技術を用いながら自らの将来について考えていく」というものです。
AIを用いた新しい型の学びの方法を通じて、自分のなりたいもの・やりたいことについて考えることを目標にワークショップを企画しました。 当日は5人のメンバーが現地を訪れ、映像クリエイター部の高校生3人と一緒に運営しました。
ワークショップ概要
今回のワークショップを通して以下の目標を設定しました。
- 普段とは違う考え方で進路選択をしてみよう
- 画像生成AIを使って視覚化したイメージからなりたい姿を改めて考えてみよう
これらの目標を達成するため、以下のように3つのパートに順序立ててワークを進めました。
- 仲間を作り、AIについて学ぶパート
- 自分を知るパート
- AIを活用して、今までの人生と将来像を表現するパート
映像クリエイター部のみなさんとのコラボだったため、2番目の「自分を知るパート」において、普段のワークショップとは少し異なった方法でワークを行いました。
従来の進路選択の方法は、自分を知る中で将来へのイメージを少しずつ可視化していくものが多かったのに対して、今回のワークショップでは、AIを用いることで自分の思い描いている姿をいかに相手に伝えていくかという点を重視しました。
仲間を作り、AIについて学ぶパート

Unicul Laboratory では他の参加者と考えや意見を共有する際に以下のことを大事にしており、その前段階としてアイスブレイクを行いました。
仲間作りとAIを知るという観点から、Chat GPTを用いてグループ名を考えるという、 これまでにないワークを行いました。
参加者やグループファシリテーターがそれぞれ自己紹介をした後に、その内容をChat GPT内に入力します。最後に、入力された内容の共通点からグループ名をChat GPTに考案してもらうというものです。
人間の感性ではない、AIならではの名前がいくつも登場し、その特徴に面白さを見出しつつ、人間と AIの違いにも注目しながらワークを進めました。
自分を知るパート

【自分を知るパート】では、自分の過去を振り返ったり将来について考えたりするために、これまでのUnicul Laboratoryのプロジェクトでも用いてきた「人生路線図」のワークを採用しました。
最初に、これまでの自分の人生を参加者に振り返ってもらい、自分の中で印象に残っていることや自分が変わったと感じた瞬間などを挙げてもらいました。
「現在の自分は紛れもなく過去の自分が積み重ねてできたもの」というポイントを前提として、自分の将来について考える時、自分の過去にヒントがあるのではないかという考えのもと、人生路線図を完成させました。
参加者は、これまでに自分を変えてくれた人との出会いや成功したこと、失敗したことなどを 細かく書いていました。書き上げた内容を全員に共有するタイミングでは、各々が自分の行ってきたことに対する質問を受け、自分では気づくことのできなかった”他者から見た自分”についても知ることができました。
最終的には、作成した人生路線図を元に自分が将来なりたい姿や将来してみたいことを考え、自分の進路選択を視覚化することに成功しました。
AIを活用して、今までの人生と将来像を表現するパート

自分の軌跡をまとめたプレゼンテーションを自動で作成することのできる AI 「Lumen5」を用いてワークのまとめとしました。
「Lumen5」の扱いはとてもシンプルで、以下のようなステップで進めました。
- これまでの自分の軌跡及び自分の将来に関する内容を入力する
- プレゼンテーションが自動で作成される
- 生成されたプレゼンテーションについて、好みの画像や音楽等を自分でカスタマイズする
手順自体はとても単純です。参加者からも「こんなに簡単にしっかりしたプレゼンテーションを作ることができるのか!」というような声も上がりました。
自分がこだわることのできるポイントも多く、各参加者は自分の持っているイメージを膨らませながら、上記に挙げた画像や音楽だけでなく、文字のフォントや効果などにも変化を加え、唯一無二の資料を作成することができました。
プレゼンテーション作成後、自身の成果物をお互いに発表し合い、自分の思い描いている将来のイメージなどを共有しました。参加者同士で自分のしたいことや進路の話で盛り上がりました。
開催後記

AI とキャリア教育はその性質上、互いに相容れないもののようにも思えますが、この二つは大きく関わり合うことができるようです。最後に実施したアンケート結果からもそのことを実感しました。
AI を何かの「手段」として用いることで様々な「結果」を現代社会にもたらすように、AIが自分のキャリアについて考えることのできる一手段になることが、今回のワークショップから分かりました。今後も新しいワークショップの開発に取り組んで行きたいと思います。
最後に、当日Unicul Laboratoryのメンバーと共に運営を行っていただいた福岡工業大学附属城東高校映像クリエイター部の皆様、ありがとうございました。
( 執筆者:高橋諒多 編集:佐々木美生)