自らを料理に例えて、
自己構成要素を考えてみよう!
「総合的な学習の時間*1」と聞いて、自分の高校時代を振り返ると、何をして何を学んだか、正直はっきりとは覚えていません。文部科学省は、そんな「総合的な学習の時間」に関して、新しい方針を告示しました。それに合わせて、学校の先生たちは授業の内容を考えなければいけないわけですが、やはり何をしたらいいか分からない人が多いのではないでしょうか…?
そこで、今回は私たちUnicul Laboratoryが行っている「キャリア教育」のワークショップを紹介したいと思います!
*1…「総合的な学習の時間」の名称は各学校によって定義することができるため、「総合」「総合の時間」「ロングホームルーム」「進路の時間」などさまざまです。
自分クッキング
今回紹介するのは、自分クッキングというワークショップです。この自分クッキングのテーマはズバリ、「自己探究」です。このワークショップに取り組む中で、自分で自己の性格や特徴を考えるのと同時に、周りと共有し客観的な意見を得ることでさらに自分への理解を深めることができます。
それでは、実際のワークショップの手順を見ていきましょう!
①自分クッキングのイメージ作り
まず、自分を構成する要素は、一つではなく、「性格」「経験」「価値観」など複数の項目に渡っていることを生徒に伝えます。そのために、Uniculではよくカレーライスを作る時のことを例に出します。カレーライスを作るには、玉ねぎ、人参、じゃがいもなどたくさんの材料が必要です。カレーライスを自分自身に、各材料を先ほど挙げた項目に例えることで、生徒に「自分らしさ」は多様な角度から見ることができるということを伝えます。
②自分を作るとしたら?!
次は、実際に生徒が手を動かして自己探究する時間です。先ほどの自分を構成する要素のお話を元に、自分のレシピを作ります。
「あなたを作ろうとしたら、2つ目までは順調に適量入れられましたが、3つ目は間違えて入れすぎてしまいました。4つ目に至っては、入れる前に全てこぼしてしまい、1滴も入れる入れられることができませんでした。そうして生まれたあなたは、どのような人でしょうか?」
具体的には、以下の4項目について考えてもらいます。
⑴自分の特徴・性格(1つ目)
⑵自分の特徴・性格(2つ目)
⑶特に自分の強い特徴・こだわり
⑷自分に足りないところ・抜けているところ
※このテンプレートは、Twitterなどで過去に流行した「神があなたを作るとき」を元にしています。
生徒が考える時には、「自分は普段、どんな行動をとっている?」という自問がヒントになると思います!
- 日常生活
- 部活
- 学校行事
- うまく行ったこと
- 失敗したなと思うこと
- 楽しいこと
- つまらないこと
③共有タイム
最後に、作成した自分のレシピを共有して周りから見た自分の特徴を知る時間をとります。生徒にとって、自分では気づけていないことを知る機会はとても貴重です。自分では弱みと感じていた部分を周りは強みだと捉えていることもあるかもしれないません。そういった違う角度からの意見を受け取る機会を作ります。
具体的な方法:作成したレシピに書いてあることだけでなく、なぜそう思ったのか具体的な経験や出来事、自分の思いを加えて少人数のグループ内で発表します。1人1人の発表が終わるごとに、周りが気がついたことや感想を述べていきます。
④もう1度自分について考えてみよう
共有タイムで、周りから得た新たな意見や自分の考えていたことと一致した部分など、自分自身で整理します。
ワークショップの手順は以上で終わりです。
まとめ
改めて自分クッキングのテーマは、「自己探究」です。過去を振り返る時も、未来を考える時も自分を知っておくことは最も重要な軸となります。他の誰とも比較できない自分らしさという軸を探究することで、自分が解決したい問題、その解決に自分が使える力、足りない力を理解することができると思います。
普段の授業の多くが一方通行になりがちな中で、ワークショップという異なった形の授業を実施するのは、先生にとっても生徒にとっても難しいかもしれません。しかし、新しい方針の下では、職場体験などの情報をインプットする機会だけでなく、自らの考えを深める総合の時間は必要です。私たちUnicul Laboratoryは過去にも多くの学校で、この「自分クッキング」ワークショップを行った実績があります。開催報告(詳しくはこちら)などの記事には生徒の声も載せているので、ぜひ覗いてみてください!
総合的な学習の時間のネタに困っている先生、何かのアイスブレイクネタを探している方、ぜひ「自分クッキング」ワークショップをやってみてはいかがでしょうか?
(執筆:瀧澤咲希、編集:宮川周平)